ノーログVPNの固定IP(専用IP)を利用しても匿名性は担保できるのか

匿名化

ノーログVPNサービスの中には固定IPアドレスを提供しているものもあります。

固定アドレスを利用することは共有IPアドレスを使うことに比べて確かなメリットがあるのですが、IPアドレスを固定のものにしてしまったらノーログVPNであっても個人を特定できてしまうのではないかという不安を抱くことでしょう。

今回はなぜ固定IPアドレスを利用するのかとノーログVPNが提供する固定IPアドレスで匿名性が担保できるのかについてご紹介していきます。

なぜ固定IP(専用IP)を利用するのか

通常のVPNは多くのユーザーとIPアドレスを共有しています。

そのため、一部のサービスではBotだと疑われ、reCAPTCHA等の認証作業を求められることや、IPアドレス自体をブロックされることもあります。

SNSサービスや検索エンジン、オンライン決済等で特にこのような傾向があります。

固定IPアドレスを利用することで上記のような問題に悩まされることは無くなるでしょう。

また、ブログ等を始めとしたWebサイトなどへのアクセスを特定のIPアドレスのみに許可する等をすればセキュリティレベルを数段上げることができます。

固定IPアドレスサービスを提供しているノーログVPN

Private Internet Access(PIA)

Private Internet Access(PIA)は匿名性を保ちながら固定IPアドレスを利用する際におすすめできるVPNです。

PIAはかつて2度裁判所から利用者のIPアドレス提出を求められましたが、そのどちらもIPアドレス等のログを保有しておらず、有益な情報を提供することはできないとして裁判所でノーログポリシーを証明した強固な匿名性を持つVPNになります。

PIAの固定IPアドレスは通常はVPNの共有アドレスだとブロックされる銀行サイトにアクセスできたことや、検索エンジン利用時にreCAPTCHA認証が表示されなかった等の検証実績があります。

また、固定IPを利用することにおいて最も懸念される匿名性についてですが、PIAの固定IPアドレスは所有者の認証にトークンを利用しています。

つまり、固定IPのノーログVPNを提供しているPIA自身もどの固定IPアドレスがどのユーザーと結びつけられているか分からない仕組みとなっています。

そのため、固定IPアドレスでありながら個人が特定できない高い匿名性を保持しております。

CyberGhost VPN

CyberGhost VPNもPIAと同様に固定IPアドレスをトークン方式で、つまり、匿名で利用できるVPNです。

CyberGhost VPNは2022年にデロイトの監査を受け、ノーログポリシーを証明しています。

またCyberGhostは業界初となる透明性レポートを発行している企業です。

透明性レポートではDMCAの削除通知、警察や政府機関からデータ提供の要請を受けた回数、マルウェアアクティビティの警告、CyberGhost VPN インフラに関する主な統計データなどを公開しています。

CyberGhostはこの透明性レポートを2018年より3ヶ月ごとに発行しています。

また、CyberGhostは元々ドイツ発祥の企業なのですが、ユーザーのプライバシー保護も考慮して本拠地をルーマニアとしています。

ドイツが14-Eyesに属していることに懸念があり、ルーマニアに本拠地を移したとも考えられます。

ルーマニアでは顧客データを保管する法的義務が無いことも信頼の裏付けとなっていると言っていいでしょう。

その他固定IPアドレスを提供しているノーログVPNサービス

NordVPN、SurfsharkVPNも固定IPアドレスを提供しています。

しかし、これらの固定IPアドレスはメールアドレスと紐づいているので匿名性を求める人にとってはマッチしない機能となっています。

固定IPアドレスのメリットであるbotだと疑われず、煩雑なチェック作業から解放される点や共有IPではアクセスできないサイトにアクセスできるという点は変わらないので匿名化が必要ない状況であればこれらのVPNのサービスの固定IPアドレスを利用するのもありだと思います。

まとめ

匿名性を担保できるトークン方式の固定IPを提供しているノーログVPNのサービスは非常に少なく、Private Internet Access(PIA)とCyberGhost VPNしか候補がありません。

トークン方式の固定IPアドレスは第三者機関によってノーログポリシーが証明されていますが、共有アドレスと比べると若干匿名性が下がると考えて良いでしょう。

固定IPアドレスサービスはインターネット上での匿名性と利便性のバランスを考えて上手く付き合っていくべき機能と言えるでしょう。

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