「ノーログポリシー」を掲げているVPNサービスは数多くありますが、FBI等の捜査機関等に対して法廷でノーログであることを証明したVPNサービスは多くはありません。
中には「ノーログポリシー」と謳いながらログを保持し、捜査機関に提供しているVPNサービスもあります。
今回はFBIにも打ち勝った信頼できるノーログのVPNサービスをご紹介します。
法廷で2度ノーログポリシーを証明したPIA(Private Internet Access)
1度目の証明
2016年、25歳のプレストン・マクウォーターズという人物が爆破予告をしたことによりFBIの捜査対象となりました。
彼は、元同僚のデボン・ケニーにストーカー行為を行っており、エリック・ミードという元同僚の彼氏の名前を名乗り、デマの爆破予告を繰り返していました。
爆破予告はPIAが管理しているVPNのIPアドレスから行われていることが分かっていました。
PIAはFBIからマクウォーターズのIPログの提出を求められましたが、利用者のユーザーIPは分からず、爆破予告に使用されているIPが米国東海岸地域のものであるという情報しか提供することができませんでした。
2度目の証明
2017年4月、サンフランシスコ在住のロス・コルビーは、ハッキング犯罪の容疑でFBIの捜査を受け、サンノゼ地方裁判所で訴追されました。
PIAのIPアドレスがハッキングに利用されていたことはFBIの捜査で分かっていたので裁判ではPIAに対して利用者情報の開示が求められました。
しかし、PIAの法務責任者は「PIAを含め、複数のVPN企業が顧客のインターネット活動のログを保持していない、証拠の提出を求められたとしても、役に立つ情報を出すことはできない」と言ってのけました。
また、「利用者の氏名や住所等の記録は保持しておらず、同社が保持しているのは、登録時に使用したメールアドレスだけである」と証言しており、さらには「弊社のサービスを利用するために、捨て(メール)アカウントを作ることも可能です」とまで言っています。
結局ハッキング犯は他のVPNも利用しており、そこから利用者情報を提出され、実刑判決を受けました。
匿名のメールアドレスを使う
PIAは高い匿名性を誇り、プライバシーを尊重するVPNサービスではありますが、メールアドレスについては情報開示に応じています。
もちろんメールアドレスを開示しても紐づくIPアドレスが無いので決定的な証拠にはなりえないのですが、匿名性は少しでも高いに越したことはありません。
なので登録時のメールアドレスも匿名のものを使うように気を付けた方が良いでしょう。匿名でメールアドレスを利用する方法についてはこちらの記事に記載しています。
度重なるサーバー押収に対応しているExpressVPN
2016年、トルコ大使在任中であったロシア人のアンドレイ・カルロフが非番のトルコ警察官、メブリュト・メルト・アルトゥンタシュによって殺害されました。
トルコの捜査機関は暗殺犯の警官のGmialとFacebookが、ExpressVPNのVPN接続を介してリモートで削除されていたことを突き止めました。
捜査機関は詳細を把握するため、データセンターを家宅捜索し、接続が行われたサーバを押収し、分析しましたが、有益は情報は得られませんでした。
捜査機関はサーバの押収に続いて、ExpressVPNに直接ログの提出を求めたが、「ExpressVPNは、捜査官が指定するIPアドレスを使用していたユーザを特定する接続ログを保持していません」と言ってのけた。
さらにExpressVPNは、「年に数回程度サーバが押収されている」という証言もしており、「こうしたインシデントを発表する方針はありませんが、VPNサーバはログを保持しないため、VPNを利用したアクティビティや接続といったユーザの機密情報を第三者が把握することはできません」とも言っている。
ExpressVPNは知られていないだけで幾度となくサーバーを押収されていますが、その匿名性が暴かれることは無さそうです。
まとめ
PIA(Private Internet Access)とExpressVPNは文句なしのノーログVPNと言っていいでしょう。
しかし、ノーログであるのはあくまで利用者のIPアドレスです。登録時のメールアドレスや支払い情報に関しては捜査機関に提供されることも念頭に置く必要があります。
メールアドレスは必ず匿名のものを、支払いは仮想通貨等を駆使し、匿名で行うことをお勧めします。
IPアドレスのログが無い以上、メールアドレスや支払い情報は気にする必要は無いのではないかという意見もあると思いますが、思わぬところから自身のプライバシーが暴かれることがあります。
匿名性はいくら気を使っても終わりは無いものです。出来ることは確実に行っていくことが大切です。
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